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プロフェッサー きなこ

Tweet 2011.09.23 Friday

思いつきで書いたROのSS。
電車の行き帰りで書いたのが元なので、読みづらい、厨二くさい、おもしろくない、と三拍子そろってますが、お暇な方は続きからどうぞ。

続きを読む>>
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プロフェッサー きなこ



「はぁー、今日も売ってないか…やっぱり自分で作るしかないかなぁ。」


首都プロンテラのメインストリート。
たくさんの商人職が所狭しと露店の看板を並べる「露店街」である。

ほしい頭装備を探して露店めぐりをしていた一人の女性がそんなことをつぶやく。

長い栗色の髪。
肩が出ていて、体にフィットした朱色の服。
深いスリットから覗く足と冒険者にしては珍しいヒールのある靴。
腕につけている振袖のような装飾。
首に巻いているキツネのえりまき。

多くの冒険者が集うプロンテラでも目を引く、特徴的ないでたち。


彼女の名前は「きなこ」。
D>V>I型のプロフェッサー(通称:教授)である。


今日の買い物はあきらめ、露店街から立ち去り、たまり場へ戻ろうとプロンテラの郊外へ足を向けた。
そんなきなこの目に、今日の多く立ち並ぶ臨時パーティ募集の看板が映る。
何とはなしに視線を巡らせていると、その中の一つにふと目が止まった。
その看板には「79↑誰でも 場所未定」と書いてあった。

「臨時か…暇つぶしに行ってみようかな」

きなこはそんなことを思いつき、臨時チャットに入ってみた。

「あのー、D>V>I教授ですがいいですか?」

「うはwww教授さんキタコレww」
「狩場レベル上げね?」
「SPよろー^^」

すでに集まっていた数人の臨時メンバーたちは
テンションも高くそんなことをに口にする。

「あはは、よろしくですー」

きなこは苦笑いとも取れる笑みを浮かべて、臨時PTの輪に加わりその場に座る。
他職にSPを供給できたり、強力なスキルを持つ教授はPT狩りで重宝されることが多い。

(まぁいつも大体こんな反応だよね・・・)

そんなことを考えていると、一人の女の子がその臨時に声をかけてきた。


「あ、あの、82FCASセージなんですけど、いいですか?」


セージ。
その声にきなこは意識を向ける。
プロフェッサーはセージの上位職なので、きなこももちろん以前はセージだった。
そのため自然と声の主に興味が湧いた。
臨時に来るなんて珍しいな・・・しかもFCASタイプなんてレベル上げ大変だろうな・・・一緒に行けたら楽しいかも・・・

とそんなことを思い「よろしくー」と言おうと口を開きかけたきなこより先に、臨時メンバーたちが口を開く。

「はぁ?FCASとかwwwちょっと勘弁なんすけどww」
「吸い取りとか自重しろよw」
「悪いけど他行って^^」

やっぱり、という表情でうなだれその場を去るセージの子。
一瞬その目には光るものが見えたようにきなこには思えた。


一部始終を見つめていたきなこは、それ以降雑談にも参加せずじっと黙っていた。


程なくして火力・支援など要職が揃い、狩場を決めようという話になった時。
きなこは急に立ち上がりこう言った。

「あっ、ごめんなさい!急に出かけなくちゃいけなくなって…狩り行けなくなっちゃいました;」


「ちょ、マジかよ!」
「ドタキャンとかwww」
「えー教授なしかよwww」

当然臨時メンバーたちから不平不満が湧き上がるが、きなこは手短に謝ってPTを抜け、その場を立ち去った。

その足はたまり場ではなく、カプラ職員のもとへ。
その目と足はさっきのセージを探していた。


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様々な狩場をテレポで探し回っていると、やがてピラミッドダンジョンの地下でミノタウロス相手にオートスペルで戦うさっきのセージの姿を見つけた。

物陰から声をかけるタイミングを図りつつ様子を伺うきなこ。

セージはコールドボルトを唱えながら付与をした本で戦っている。
時折オートスペルが発動し、そこそこダメージを与えているようだ。

INT先行でAGIがあまり高くないのか、攻撃を回避しきれなくてたまにダメージを受けている。
攻撃速度もあまり早くなく、ミノタウロス一体にも時間がかかっている様子。
懸命に本を振りかざして戦うその表情は真剣さと同時に、悔しさにも似たものが見てとれた気がした。

ようやくミノタウロスを倒したセージだが、その息は荒く、肩で息をしながら、SP回復のためかその場に座り込んでしまった。
しばらく座ったままで、その肩は微かだが確かに震えていた。

そんな様子を見ていたきなこには、そのセージにかつての自分の姿が重なって見えた。
臨時はもちろん、ギルド内でのPTにもなかなか行けず、ひたすらにソロでレベルをあげ、ただ教授になることだけを目指していたかつての自分。
「みんなに迷惑はかけられない」なんてことも思ったっけ・・・


そんなことを思っていたきなこの目に、セージの背後から迫るミノタウロスのハンマーが映った。

! ハンマーフォールが来る!!

ハンマーを振り下ろす衝撃でスタンさせるスキル、ハンマーフォール。
回避不能になるスタンは、回避が防御のAGI職には命取りとなる。

セージが迫り来るハンマーに気づいたが、座ったままのセージにはそれを回避できなかった。
「・・・!」目を伏せて覚悟をしたセージ。
ハンマーの衝撃がセージを襲い、頭が揺れて視界が火花とともに遠のいてゆく。
セージは意識を失いながら倒れつつ、視界がピンク色に染まった気がした。
「・・・?」


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どれくらい気を失っていたのか。
セージはうっすらと目を開けた。

「・・・気がついた?」

きなこの声でセージは体を起こした。
気がつくと見知らぬ教授のひざに抱えられ、寝かされていた。

確かハンマーフォールでスタンさせられ、ミノタウロスにやられたと思ったセージだったが、
不思議とその体にはたいしたケガもない。そのケガも、直前のミノタウロスとの戦いで負ったもののようだ。

・・・あぁ、この教授さんが助けてくれたんだ・・・

セージがまだ少し朦朧とする頭でそう理解し、おぼろげな視線でその教授の顔を見あげる。
きなこはにっこりと後輩に微笑み返した。
「もう大丈夫だよ。」


------------------

ミノタウロスのハンマーがセージに迫った時。
きなこの体はそれよりも早く動いていた。

ブルージェムストーンを放り投げながら、DEXカンストの高速詠唱で呪文を唱える。

「セイフティウォール!」

ピンク色の障壁がセージの周囲に立ち上る。
セージはハンマーフォールの衝撃で一瞬気を失うが、続くミノタウロスの攻撃はセイフティウォールに阻まれてセージには届かない。
ミノタウロスが乱入者に気づき、きなこに怒りの視線を向けて歩み寄る。

きなこは続けて腕を振りかざしながら呪文を唱える。

「ウォールオブフォグ!」

たちまちミノタウロスの周りを黒い霧が包みこみ、ミノタウロスの視界を奪う。
視界を奪われパニックになり、咆哮しながら暴れまわるミノタウロス。
きなこは落ち着いてダブルキャスティングからのコールドボルトを唱える。
無数の氷の矢に貫かれ、ミノタウロスはその場に倒れる。

少し乱れた長い髪を整えつつ、セージの元に歩み寄る。
気を失っているだけで大事はなさそうで、ひとまず安心する。
ひざをつき、セージの体を抱えてその顔を覗き込む。

頬についた汚れをぬぐってやりながら、まだ幼さの残るその顔を、複雑な思いを抱きつつ見つめていた。



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セージはきなこの笑顔を見て、それまで張り詰めていた気持ちと
溜め込んでいた思いが一気に緩んだのか、泣き出してしまった。

「うっ・・・ううっ・・・ひぐっ・・うわああああああああ!!!」

ダンジョンの中、初めて会った自分よりも上級職のひざに抱えられながら、
大声で泣き続けるセージ。
その気持ちを察して、何も言わずにきなこはセージを抱きしめた。


----------------------------------

「・・・す、すみません!助けていただいた上に大声で泣いたりして・・・」
しばらくしてセージも落ち着き、自分が大声で泣いてしまったことに恥じつつ
きなこに頭を下げる。

「気にしなくていいわ。わたしも昔はセージだったし。」

その言葉にセージは口をぎゅっと閉じる。
目もかすかに潤んでいるように見える。

そんなセージに、きなこは言葉を続ける。

「・・・さっきの臨時ね、わたしもいたんだ。 でもね、ドタキャンしてきちゃった。」

セージははっとして顔をあげる。
その表情はどうして?と言いたげである。

「セージを悪く言うやつらに、教授の恩恵は与えるわけにはいかないの。それはわたしのポリシーなのよ」

セージ時代の苦労は転生によって大きく花開く。
その支援能力はパーティを大きくレベルアップさせ、高レベル狩場や特殊な狩り方も可能にさせるが、そのプロフェッサーとしての能力もセージ時代の下積みがあっての話。
教授を目指してがんばるセージを軽視する連中を、きなこは許せないのだ。


「でも、わたしはソロメインのFCAS型ですから・・・断られるのは、慣れてますから。」

セージはそんなことを口にして笑みを浮かべるが、その表情は誰が見ても無理が見て取れた。

そんなセージを見つめるきなこはすこし考え、提案した。

「ねぇ、今から時間ある?よかったら一緒に狩りに行かない?」

セージは驚きの表情できなこの顔を見返す。

「えっ、でも・・・」

「気晴らししてみない?それにわたし、ほしいものがあるの。付き合ってくれないかしら?」

「わ・・・わたしなんかでいいんですか・・・?」

セージの言葉に、きなこは満面の笑みでこう答えた。

「もちろん!わたしはあなたと狩りがしたいの。」

その言葉に、セージは顔を赤くしてすこし俯きながらうなづいた。

「じゃあ決まりね!ちょっとまってね、知り合いのプリに迎えに来てもらいましょう」
そう言うと、きなこはギルド会話でなにやら話をした。

セージがおろおろしていると、ほどなくしてダンジョンの廊下から銀髪の男性ハイプリーストが姿を現した。

「ラヴィ君、ありがとーvこの子がさっき話したセージさんね。
 セージさん、この人は同じギルドのハイプリさんで、ラヴィ君っていうの。
 彼も一緒に支援してくれるから、よろしくね!」

「えっ!ハイプリーストさんですか!?そ、そんな!もったいないです!!」

「もったいないなんてことないわよー。それに支援するのがハイプリの役割なんだから、いいのよ! ね、ラヴィ君?」

「はい、もちろんです。セージさん、よろしくお願いしますね。」とラヴィ君はセージににっこりと微笑む。

セージは銀髪ハイプリスマイルにすっかりやられてしまったのか、顔を真っ赤にして、
「はいっ!よ、よろしくおねがいしますっ!!」
と裏声で叫んだ。

そんなセージをニヤニヤしながら見つつ、
「じゃあいったんプロンテラに戻って準備しましょう」
ときなこは言った。するとラヴィ君がワープポータルを出し、すぐにきなこが飛び乗り、姿を消した。

「さぁ、セージさんも。」
「は、はいっ!」
ラヴィ君にエスコートされてセージもポータルの中へ。ラヴィ君も続き、ポータルの光は消えた。

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「えぇっ、ここですか!?む、無理ですよ!」

「大丈夫、1Fだけだし、ラヴィ君もいるから。」

そう言うときなこは、セージの腕をひっぱって薄暗い入り口へ入っていく。


プロンテラで準備をして、辿り着いた場所はリヒタルゼンの貧民街。
下水の入り口から入った先は、生体科学研究所。

1Fではアンデッドモンスターのリムーバがメインなので、それほど難度は高くないが、まれに遭遇する1次職DOPや中ボスのジェミニは手ごわい存在であり、転生前の二次職ソロでは多少厳しい。


「では始めましょうか。」
ラヴィ君はそう言うと、手馴れたしぐさでみんなに支援魔法をかけ始めた。

「ブレッシング!」
「速度増加!」
「マグニフィカート」
そして。

「アスムプティオ!」

セージに向けて伸ばされたラヴィ君の手が白く光ったかと思うと、セージの全身をやわらかな光が包んだ。

「わぁ・・・これがアスムプティオ・・・すごくあったかくて心が安らぐ感じです・・・」
初めてハイプリーストの支援を受けるセージは、思わずそんなことを口にする。

それを聞いたきなこは、
「あら、ハイプリと狩りをするのは初めて?」
とセージに聞いてみる。

「はい、転職してから、ずっとソロでしたので・・・」

「ふふ、いい機会だから、今日は思いっきりハイプリの支援を堪能するといいわよ♪」
「ははは、お手柔らかにおねがいしますね」

きなことラヴィ君がそんな冗談を言い合いながら微笑む。
セージはまた頬を赤らめてうつむく。

「さぁ、そろそろ行くわよ!」

きなこがダブルキャスティングを唱えて戦闘準備に入る。
セージもそれを見て、フレイムランチャーで自らの武器に火属性を付与し、オートスペルも唱える。

少し進むとすぐに2体のリムーバに遭遇した。
すかさずラヴィ君がリムーバにブレッシングをかけ、弱体化させる。

セージが少し前に出て2体のターゲットを受け持つが、支援に加えて闇ブレスのかかったリムーバなら余裕で回避できる。万一よけ損ねても、アスムによりダメージも半減され、ハイプリのラヴィ君がすぐにヒールで傷を癒してくれる。

想像していたよりもずっと早く1体目のリムーバを倒したセージ。
もう一体のリムーバも、きなこのファイアボルトで倒れた。

セージは嬉しさと驚きの混じった表情できなこと顔を合わせる。
きなこはにこっと微笑み返し、「さぁ次!どんどんいくわよ!」と声をかけて通路を進む。
セージも「はい!」と元気よく答え、すぐに続く。
ラヴィ君もそんな二人をすこし後ろから追いかける。


角を曲がると、さらに3体のリムーバが。
セージは一体のリムーバに対してファイアボルトを唱えながら、もう一体のリムーバに本とオートスペルでで攻撃する。
そんな様子をみて「やるわねv」とつぶやきつつ、きなこもファイアボルトを唱える。

と、そこにさらに追加のリムーバと厄介者のウィレスがやってきた。
きなこはすかさずウィレスに対して「ヘブンズドライブ」を高速で唱える。
回避率の高いウィレスであっても魔法であるヘブンズドライブは100%命中し、床から突き出した土の突起でウィレスは散る。
リムーバもセージによってほどなく一層される。

「順調ね!いけるいける!」
きなこは声をかけてどんどん先に行く。
「あぁ、待ってください!」
セージもあわてて後を追う。

そんな狩りを順調に小一時間続ける三人。

セージはパーティでの狩りがこんなに楽しいものだということを久々に思い出した。
思えば最後にパーティで狩りをしたのは、まだ一次職だった頃の転職追い込みのとき、同じく一次職のアコライトや転職したてのナイトやアサシン達と行った臨時パーティのゲフェンダンジョンだった。みんなで力を合わせてダンジョンを進む緊張感と確かに感じる充実感、あのころは夢中だったな・・・あれから何ヶ月経ったんだろう・・・

そんなことを思いつつ、ふとセージはあることを思い出した。

きなこが狩りに誘うとき、口にしていた言葉。
「わたし、ほしいものがあるの。」

こんなところで、なんだろう。カード?

きなこの顔に視線を向けると、きなこがその視線に気づき「何?」と聞いてきた。
「いえ、その・・・ほしいものっておっしゃってたのは・・・」
と口にした。

「あぁ、わたしね、やわらかい帽子がほしいの。」

やわらかい帽子?
それなら露店にも売っていそうだけど・・・とセージが思っていると、きなこが続ける。

「露店にもあるよね。でもわたしは頭カード刺し用に+8以上のやわ帽をたくさん集めているの。」

「そ、そうなんですか・・・大変ですね・・・」

「うん、だから実は今日も露店で完成品を探してたんだけどね・・・なかなか売ってないから自分で集めようと思って・・・っ!!」

と突然きなこの表情が変わり、視線を通路の端へ向けた。

セージがその視線の先を見ると、赤い人影が二つ。

・・・いや、よく見ると二つの人影はひとつにつながっている。

「ジェミニ!!」

きなこの声が響く。

あ、あれがジェミニ・・・!
セージの顔が恐怖で青ざめる。

しかし、きなこは不敵な笑みを浮かべるとジェミニに向かっていく。

「!? えぇっ、に、逃げないんですか!?」

「もちろん!ラヴィ君、よろしくv」
「了解です!セイフティウォール!」

ラヴィ君が出した光の幕の中央に立ち、ジェミニを待ち受ける。
さらにラヴィ君は続けて「サンクチュアリ」を唱え、きなこが立つすぐ後ろにサンクチュアリを展開する。

その様子を見たセージははっと息を呑む。
これはひょっとして、噂に聞くバックサンク?

踏み入れたものすべてのHPを回復するサンクチュアリを敵に踏ませないように、後ろぎりぎりにサンクチュアリを展開しつつ戦う、殴りプリーストやMEプリーストの十八番、バックサンク。
ソロでもけっこうコツが必要なこの技をパーティで難なくこなすきなことラヴィ君を思わず見つめるセージであった。

・・・息、ぴったりなんだ・・・さすがギルドの仲間・・・


「ほら、早く攻撃して!」
ぼーっとそんなことを考えていたセージにきなこの声が飛んだ。

はっと我に返ったセージはあわててオートスペルを唱え、ラヴィ君のセイフティウォールに乗りながらオートスペルライトニングボルトで援護に加わった。
オートスペルは攻撃が命中しなくとも発動するため、回避能力の高いジェミニにも有効だ。

HPの高いジェミニだが、懸命なセージの攻撃とラヴィ君の支援によりやがて倒れた。

「やったね!」
きなこが声を上げる。

「はぁ、はぁ・・・たおせましたね・・・」
セージはさすがに疲れたのか、その場に座り込んだ。
地面についたセージの手に、コツンと何か硬いものが触れた。

セージが何かと思って見ると、そこには青色の小さい箱が転がっていた。

「あ、青箱・・・」
「わぁすごい!おめでとう!」

初めて自分で出した青箱を拾いあげ、目を輝かせながら思わず口元を綻ばせるセージ。
そんなセージを見て、きなこはうれしそうに微笑んだ。


「さて、ジェミニも倒したし、そろそろ頃合いかな?」
「はい!戻りましょうか」


きなこはちょっと含みのある笑いを浮かべたかと思うと、こう言った。

「じゃあ最後に・・・ちょっとだけ、遊んじゃおうか。」

「・・・え?」


セージが何事かと思っていると、きなこは左手を前に突き出し、こう叫んだ。



「リンカー!あなたに会いたい!!」



きなこが叫ぶと同時に、きなこの左手薬指がピンク色に強く輝いた。
かと思うと、次の瞬間、きなこの目前に光の渦とともに人影が現れた。

現れたのは、男性のソウルリンカー。
今まで気がつかなかったのだが、きなこにもそのソウルリンカーにも、左薬指に指輪が光っていた。

「・・・結婚スキル・・・」

「ふふ、びっくりした?」

きなこはいたずらっぽくそう言うと、リンカーに何かをささやいた。
ソウルリンカーはうなずき、セージに向かって両手を差し伸べると、高らかに叫んだ。


「セージの魂よ、この者に宿れ!ソウルリンク!!」


あたりが青く光り、その光はセージの頭上へと集まり、やがて体へ流れ込む。

「・・・ソウルリンク・・・これって・・・まさか・・・!!」

「さぁ、オートスペル!!」

「!・・・はい!!」

セージはオートスペルを唱え、近くにいたリムーバに挑む。
本を振りかざした瞬間、大量の炎の矢が本からリムーバめがけて襲い掛かった。
たちまちリムーバは倒れ伏す。

魂FCAS。
セージの魂を付与された状態だと、通常はレベル1~3までの間でランダム発動のオートスペルが、習得最大レベルで発動するようになる。
つまりレベル10を覚えていればレベル10が詠唱なしで発動するので、火力が大幅にアップする。


「・・・すごい・・・これが魂FCAS・・・すごいです!!!」

セージは湧き上がる衝動と喜びを確かに感じつつ、次のリムーバに向かって駆け出す。
その後も魂の恩恵が続く限りリムーバを蹴散らし続けた。

きなことラヴィ君、リンカーは微笑みあいながら後を追った。




--------------------------------


狩りを終え、プロンテラに戻った四人。

リンカーは先に戻り、三人で狩りで得られたアイテムを精算することに。
「せ、精算なんて・・・こんなに楽しませていただいたのに!いいですよ!」
セージが断るが、きなこたちは公平にわけようと主張する。

セージが困った顔を浮かべると、きなこはひとつ提案した。
「じゃあ、1つだけ出たやわ帽をもらっていい?あとは全部あなたにあげるから」

「もちろんです!それでも多いくらい・・・」

「きまりねvありがとう!」

「はい!ありがとうございます・・・あ、青箱・・・」

ジェミニから出た青箱。
どうしようかとセージが悩んでいると、きなこが「開けちゃおうよ!」とささやく。

セージは意を決して開けた。

出てきたのは・・・


「あ・・・やわ帽・・・」

「あは、おそろいだねv」

きなこはセージに今出てきたやわ帽をずぼっとかぶせ、自分もやわ帽をかぶり、横から抱きついた。

「ね、SSとっていい?」
きなこがセージの耳元でささやく。

「え!・・はい、ど、どうぞ・・・!」


「わらってわらってー、はい!チーズ★」


SSのSS


「それじゃ、おつかれさまー!またね♪」
「おつかれさまでした、またお会いしましょう」

きなことラヴィ君がセージに別れを告げる。

「はい!・・・あっ、すみません、お名前をまだ聞いてませんでした・・・
 教授さん、あたなのお名前・・・教えてくれませんか・・・?」


きなこは微笑みながら、後輩に向かって自らの名前を名乗った。

「わたしはきなこ。プロフェッサーのきなこよ。」


「きなこさん・・わたし、諦めずにプロフェッサーめざします!!それで、きっときなこさんみたいな、素敵なプロフェッサーになります!!」

きなこは満面の笑みを浮かべて答えた。
「プロフェッサーになったら、また狩りに行きましょうvそれじゃあ、またね!」

きなことラヴィ君はセージに手を振り、たまり場へ去っていった。


「きなこさん・・・わたしきっと、あなたみたいなプロフェッサーになってみせます・・・!」



---------------------------------



数ヵ月後。
プロンテラの郊外。


通り沿いの芝生に、アサクロとスナイパー、そしてやわ帽をかぶったプロフェッサーが座って話をしていた。

スナイパーがプロフェッサーに話しかける。

「セージと違ってプロフェッサーってソウルチェンジとか超便利だよねー、臨時でも引っ張りだこでしょ?今度タナトスタワー9Fとか行こうよ。」

するとそのプロフェッサーはこう答えた。

「プロフェッサーになればもてはやされるけど、セージ時代は見向きもされないのよ。臨時PTに行きたくても断られるし。だからセージをないがしろにする人とはPT行かないのがわたしのポリシーなの」

それを聞いた傍らのアサクロが意外そうな声を上げる。

「へー、セージは付与とか助かるけどなー。それってやっぱり自分で思ったから?」


「ううん、セージだった頃に出会った教授さんがそう言ってたの。わたしの恩人で、目標なんだ」

そう答えたプロフェッサーは、やわ帽を愛おしそうに撫でながら、すこし遠くを見て微笑んだ。



-- fin --

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